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ならの「新しい公共」

奈良でも「新しい公共」の事業が始まる。これは第一セクターから第三セクターまでの団体や企業、及び住民が連携して、住みやすい地域社会をつくる取り組みである。この数年若者の参入が目覚ましいソーシャル・ビジネスの社会的起業家やNPO団体、福祉関係者、行政と企業の協働型である。経営者も労働者も地域の住民であることを再認識する回帰としてとらえることができる。地域社会を自分たちでつくり上げていくことの大切さに気付いたことから、この取り組みが始まったと思いたい。従来の“働く”の多くの意味は、経済的な裏付けを得るためであった。その後、徐々に経済力が高まり、知識水準も上がり、人としての生き方を真剣に考え始めた兆候ともいえる。
生きることの基盤は生活である。食べること、住むこと、着ることである。食べることにこだわって、耕作が放棄された中山間地の畑を日々開墾し、食料自給と安全な食べ物を得る活動をしている人たちも増えてきた。田畑が生き返ることが、自然に与える影響は大きく、動物の生活が守られること、きれいな水と空気が確保されること、集落に人が増えて以前のような活気が生まれることなど、多々あるが、この動向が生きることの基盤を見せてくれていると感じている。古来より日本で地域社会が形成されたのは、水があり、肥沃な土地があり、水田で米が収穫できたことが、大きな要因であった。そこに協働、共同、思いやり、助け合いが生まれてきた。それが発展したのが現代社会の構造である。
この「新しい公共」は、もう一度人が生きることの意味を問い直し、地域社会のつながりを確認し合うことだと考えたい。最近は行政も企業も“公助・自助”を提唱するようになった。多分、勤勉や節約や誠実に生きることが、現代社会でも最も大切なものであることを伝えたいのである。国が貧しくなったことで、このような協力を訴えていると思うことなく、21世紀の日本の新しい地域社会の在り方を論じる、いい機会であると捉えて、前向きに「新しい公共」への取り組みをする覚悟である。

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