ブログ
障害者のジョブリサーチとマッチング
本年度もすでに上半期が終了しましたが、上期では6名の就職者を出すことができました。利用している約80名からすると少ない人数ですが、これからさらに支援内容を充実させて、より多くの方を社会に送りだしたいと考えています。内訳は民間企業に4名、他団体が運営する就労継続A型事業所へ1名、我が団体に1名です。職種別ではクリーニング業が2名、福祉関係が1名、事務業務が2名、PC技能で1名となりました。
障害者の就労支援は、障害者が「労働者」になるための教育及び訓練であり、職業技術を習得するための支援をすることです。労働者になるためには、まず個人の職業能力に応じて用意された段階的な支援プログラムを習得することを目標にしています。ほぼ達成された状況を就職準備性が整ったと判断して、次のステップである“ジョブリサーチとマッチング”の段階に移行します。不況で業種別の求人募集が減少しているとの判断ですが、それでも障害者向けの特別枠を含め求人募集はあるので詳細にリサーチを始めます。就職要素である職種、技能、雇用形態、賃金、地域、労働環境などを考慮して個別に求職活動を進めます。障害者のジョブリサーチでは、構造的なミスマッチをしないように多くの業種を調査することが大切です。特に有効求人倍率の高い業種が狙い目になります。注視する点は就職要素の中でも、「地域」と「労働環境」であり、障害特性にもよりますが、公共交通機関の利用手順や通勤時間を注視し、就職が決まった後も長く通うことができるように近距離の職場が好条件になります。また労働環境では駅から事務所まで、職場内のバリアフリーやトイレなども重要な要素となりますが、一般募集などでは募集要項に詳細に書かれていない例もあり、面接時の確認や就労支援員やジョブコーチなど支援者の訪問などで検証することも必要になります。
経済が成長すると製造業からサービス業の比率が増えてくるとの法則がありますが、奈良県でも同様に企業の7割以上がサービス業になっています。駅前に乱立するビルの看板を見てみると、金融、保険、旅行、飲食、小売など多くのサービス業が目につきます。製造業では主に一部の技能があれば就労が可能でしたが、サービス業になるとそれに加えて、「対人性」、「対応性」などの技能が要求されます。徐々に日本社会では職業能力に一定以上の能力がある労働者が優遇され、それ以下の労働者が職を失う傾向が益々拡大すると予測されます。
障害者の就労支援の現場はテクニカルスキルだけでなく、ヒューマンスキルの育成にも努力する必要があると痛感しています。