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IT技能の習得から生まれた職業能力
障害者の就業を支援する制度として就労移行支援事業がある。2年間の訓練で一般企業などへの就職を目指す福祉サービス制度である。ぷろぼのの就労支援プログラムでは、まずアセスメントとして、個人の職業能力の判断と思いを記録したフェースシートを作成する。さらに障害特性や生活から生じた特性を判断するために「チャレンジプログラム」として、生活及び社会性技能、職業技能と創造的技能を判断するための幾多のプログラムを受ける。就業のための障害特性を判断することは多面的な要素が交差することからその一端を把握できると考えている。判断期間を6カ月程度に伸ばすと、障害特性と思われていたマイナス機能がアップするなどの傾向が見られてくる。身体や知的障害の場合には大まかなアセスメントが一般的ですが、精神や発達、脳外傷などの障害ではその判断は軽々に特定できない。それだけにこのような取り組みが就業能力の可能性を広げるとの認識を深めている。
アセスメントと並行してITの基礎訓練が6カ月ほどあり、その後1年で就業に必要な直接的な技能の訓練を受ける。これにより就業可能な具体的な職種が見えてくる。その段階では本人も自信を持ち、表情も豊かになってくる。今取り組んでいる職種を書いてみると、①文字や画像データの入力②テープお越しや議事録作成③DTPチラシ制作④HPの制作や運用管理⑤Webデータベースシステムの開発や運用⑥ECネットショッピングサイトの構築と運用⑦PCの設定及びメンテナンス⑧PCのクリーニング⑨経理データ入力及び試算表の作成⑩各種伝票の作成と発行⑪各種元帳のデータ入力と作成⑫在庫管理⑬各種データの集計と分析⑭PC教室の指導⑮画像の加工や編集などなど・・・多くのことができるようになってきている。
また個人の職業能力訓練と共にグループでの訓練が多くの可能性を引き出している。障害種別が混在して同じ空間で同じテーマの仕事を処理するときに自然と役割ができてくる。誰がリーダーであるなどではなく、協働意識が生まれてきている。これからの障害者の職業能力訓練の方向性の一端が見えたような気がしている。