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障害者の地域自立の支援
私たちは一人では生きられない、よく言われることであり、生き物としての人間は集団で生きるように作られていると感じる時が多々ある。やはり人間は社会と時代に関与してはじめて人間なのだと認識している。障害者の地域自立は障害者自立支援法の骨格であり、これを目標に多くの福祉サービス制度が構築されている。
「地域自立」を改めて考えてみると、住んでいる地域で創造や生産活動に関わり、自分との関係性を実感することだと思う。障害福祉の現場で多くの障害を持つ仲間たちに、自立のための条件を聞いてみると、即座にまず”仕事”、お金”の答えが返ってくる。資本主義の社会で生活するものとしてごく自然な答えであると実感している。彼らが地域で自立するためには、どうしても仕事と収入が必要となるが、その目標となる金額はいくらになるかを考えてみた。奈良で1DKのアパートは平均で月額5万円程度、それに公共料金1万5千円、食費3万円、日用品費2万円、活動費3万円など合計14万5千円となる。決して裕福ではないがどうにか生活ができる最低の金額だと想像している。これを年収に換算すると174万円となる。障害者の地域自立を経済面だけで仮定するとこのような金額になる。収入面では、障害の程度によるけれども障害者基礎年金が成人になれば年間79万2千円程支給される。さらに生活や社会参加に必要な福祉支援がある。地域によって差はあるけれども、例えば、公共交通の運賃半額、公共施設の入場料免除、所得税の収入の一部免除、車両保険免除、NHK受信料免除などがある。これらを収入として試算すると障害や個人によって違いがあるけれども年間20万程になる。障害基礎年金と福祉支援を合計すると約100万円の収入と同等になる。足りない80万円を仕事で稼ぐことができれば奈良でぎりぎりの生活ができる。
これは経済的な要素だけで障害者の地域自立の可能性を試算したもので、これだけで自立が可能になるわけでもない。ただこのように障害者の地域自立の支援計画を細分化していくことで可能性がひろがると考えている。次はインフラ面のUDや精神面のソーシャルインクルージョンについて検討を加えたいと考えています。